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原発事故備え病院改修 松江赤十字方針 放射性物質流入防ぐ

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)南東約9キロの松江赤十字病院(同市)が2015年度、原発事故に備え、放射性物質の流入を防ぐ改修工事に着手する方針を固めたことが9日、分かった。事故の際、被曝(ひばく)患者の受け入れや除染を担う同原発の緊急被曝医療機関が改修に乗り出すのは初めて。

 同病院は県内52病院で最多の645床(稼働ベース)を抱える。受け入れ患者に加え、福島第1原発事故で課題が浮き彫りとなった入院患者の安全確保も図る。

 15年度は設計をし、施設の気密性を調べる計画。病棟の中心で地上14階地下1階の高層棟(延べ3万1500平方メートル)と、外来や管理部門など地上6階地下1階の低層棟(同1万平方メートル)を対象に、改修が必要なエリアを精査。16年度にも着工、完了させる。

 13、14年度、改修に着手した原発10キロ圏の社会福祉施設や官公庁計25施設と同様、県を通じ国の交付金を活用する。この日、政府が関連予算案を閣議決定したのを受け、県が2月、設計費数千万円を14年度一般会計補正予算案に盛り込む。同病院の米山隆事務部長は「福島の反省からも安全対策は不可欠。まずは改修規模を見極めたい」と話す。

 福島の事故を受け、県は被曝医療態勢を強化。患者対応に当たる緊急被曝医療機関を13年2月、3病院から16病院に増やした。同病院は初期被曝医療機関で、より高度な治療が必要な場合は2次機関の県立中央病院(出雲市)や、3次機関の広島大病院(広島市南区)に搬送する。(樋口浩二)

(2015年1月10日朝刊掲載)

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