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社説・コラム

天風録 「テロ再び」

 それが記者の仕事とはいえ、できることなら紙面に刻みたくない言葉がある。災害、戦争、児童虐待、核弾頭…。使用回数を減らしたい単語リストには切りがない。「テロ」もその一つ▲本紙データベースで調べてみた。9・11があった2001年、一気に増えて4200本余の記事を数える。徐々に前世紀末の水準近くに下がっていたが、ここ2年で再び増加に転じ、平均すると1日3本弱。また一つ、小欄が増やしてしまうのだが▲フランスでの事件は「連続テロ」だった。風刺画を載せた週刊紙への銃撃だけでも衝撃的なのに、女性警官を射殺して立てこもった別の事件が同時進行していた。容疑者同士が示し合わせていたと現地ニュースが伝える。いったいなぜ、何のために▲いじめや紛争にしても、この世から一掃すれば、その言葉は使わずに済む。人間の弱い心や悪意が起こすものなら未然に防ぐ道はきっとある。甘い理想論と言われようが、へこたれずに皆で努力する世の中でありたい▲核弾頭がテロリストに渡る。忌まわしい二つの単語が一つに組み合わさる最悪の事態は、何としてでも食い止めなければならない。核のない世界を先に実現してはどうか。

(2015年1月11日朝刊掲載)

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