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新成人 夢と不安胸に 古里の神楽団復活/賃金上がる政策を 中国地方

 中国地方各地で11、12の両日あった成人式の会場で、新成人に将来の目標や政治、社会について聞いた。夢をひたむきに追いながらも、暮らしについて不安を抱く姿も。今春の統一地方選や被爆・戦後70年には、さまざまな思いを胸に秘めているようだ。

将来

 広島市の成人祭に出席した岡山大2年田川祐子さん(20)は高校の社会科教諭を目指す。大学の講義で世界の歴史を学び「国の針路を決めるのは教育。自分の意見を発信できる生徒を育てたい」と意気込む。岩国市で出席した大阪情報専門学校2年大石彩果さん(20)は「エンジニアになるのが目標。プログラミングの国家資格を取りたい」。

 地域のにぎわいづくりの担い手となる意欲を持つ若者もいた。広島外語専門学校2年小林章史さん(20)=福山市出身=は「古里の神楽団が高齢化で途絶えかけている。地域の子どもたちを巻き込んで、復活させたい」と思い描く。

戦後70年・平和

 ことしは被爆・終戦から70年。集団的自衛権の行使容認など、外交や平和の在り方をめぐって、「大きな曲がり角に差し掛かった」との受け止めが目立った。

 広島高等歯科衛生士専門学校2年赤川美樹さん(20)=呉市=は「憲法改正は必要ない。今ある平和を大切にしたい」。平和活動に参加している広島女学院大2年森長蓉子さん(20)=広島市安芸区=も「ヒロシマの願いを広めたい。同年代にもっと政治や世界の動きに興味を持ってほしい」と促す。

 広島修道大2年新家靖識(やすのり)さん(20)=南区=は「祖父母は被爆者で、子どもの頃、悲惨な体験を資料や写真を見せながら話してくれた。もっと詳しく聞き、後の世代に伝えていきたい」と話した。

選挙・政治

 今春の統一地方選を意識し、有権者としての自覚を強める人も。東広島市の広島大2年原美波さん(20)は「将来を担う私たちが参加しないと」。尾道市の会社員島田彩帆(さほ)さん(20)も「初めて投票した昨年の衆院選の投票率が戦後最低だったことに驚いた。若者は1票の重みを実感すべきだ」。

 消費増税後の生活に不安を感じる声が多かった。ガソリンスタンドで働く宮島工高定時制3年原田政忠さん(19)=大竹市=は「消費税が今後も上がるなら、少しでも生活が良くなるような政治をして」。松江市の旅館従業員山本彩未さん(19)は「増税した分、賃金が確実に上がるような政策を」と注文した。

(2015年1月13日朝刊掲載)

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