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社説・コラム

Let’s広響 「自由と平和」 力強く 23日 秋山和慶タクト

 ブラームスの交響曲シリーズ最終回となる広島交響楽団の第345回定期演奏会(23日)は、「自由と平和」をテーマに届ける。自由を愛したブラームスの第3番に、平和への願いがこもるオネゲルの交響曲第3番「典礼風」をカップリング。被爆70年最初の定演に、音楽監督・常任指揮者の秋山和慶のタクトで力強いメッセージを響かせる。

 ブラームスの四つの交響曲のうち最も力強く壮大とされる3番は、ベートーベンの交響曲第3番になぞらえ、ブラームスの「英雄」と称される。第1楽章の冒頭から登場する旋律は、作者が好んだ言葉「自由に、しかし、楽しく」にちなんでいるともいわれ、伸びやかで自在な楽想が特徴だ。

 映画音楽に用いられたり、国内外のさまざまな歌手が歌ったりしてきた第3楽章は、甘美な旋律を弦楽器と管楽器がロマンチックに歌い上げる。ブラームスの交響曲では演奏時間が最も短いながら、聴きどころは満載。シリーズの締めくくりにじっくりと浸りたい。

 前半に組み合わせたのは、近代フランスを代表するオネゲルの交響曲。蒸気機関車の走行を表した「パシフィック231」で知られるオネゲルは、鉄道ファンの秋山が得意とする作曲家の一人だ。

 第3番「典礼風」は3楽章からなり、神の怒りに触れた人間の恐れを描く第1楽章「怒りの日」で荒々しく幕開け。第2楽章「深きふちより」では神に捨てられた人々の祈りを表現する。第3楽章「われらに平和を」は、重々しい行進曲から、平和の願いがこもったハトの鳴き声のモチーフへと変遷し、穏やかな音色で静かに幕を閉じる。

 第2次世界大戦後の1945~46年に作られた楽曲には、オネゲルの平和や平穏を願う気持ちを感じずにはいられない。平和貢献を使命とする広響。節目の年に向けた強い意気込みを感じられる演奏となるだろう。(余村泰樹)

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 開演は午後6時45分、広島市中区の広島文化学園HBGホール。5200~4200円(学生1500円)。広島交響楽協会と中国新聞社の主催。広響事務局Tel082(532)3080。

(2015年1月14日朝刊掲載)

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