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米軍再編で山口県に18億円 都道府県交付金を創設 15年度予算案

 政府は2015年度、在日米軍再編で基地負担が増える都道府県を対象にした新たな交付金制度を設ける。15年度予算案に18億5200万円を計上した。17年ごろまでに空母艦載機の移転計画がある米海兵隊岩国基地(岩国市)を抱える山口県に全額を交付する。艦載機移転予算も1019億3700万円(契約ベース)と初めて1千億円を超え、移転に向けた環境整備が進む。

 新交付金の支給要件は航空機40機、人員が千人を超えて増える防衛施設があること。住民生活の安全向上や防災、教育・スポーツ振興などに広く使えるが、ハード事業に限られる。

 山口県は新交付金を、岩国市と和木、周防大島町の1市2町での道路や河川整備、治山事業などに活用する。岩国錦帯橋空港(岩国市)の駐車場立体化や県立高校舎の建て替えにも充てる計画で、編成中の15年度当初予算案に反映させる。

 新交付金は、米軍基地が集中する沖縄県の負担軽減に向け、他の自治体の協力を促す狙いがある。市町村向けには「再編交付金」が既にあるが、都道府県向けはなかった。政府は山口県などの要望を踏まえ、「5年間で100億円規模」の新交付金を検討していた。

 岩国基地には14年8月下旬、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機15機が移った。17年ごろまでには米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機59機が、隊員や家族約3800人とともに移る予定だ。

 一方、艦載機移転の予算は、15年度に新たに発注する工事や設計業務の総額である契約ベースで、14年度当初予算の902億7900万円から12・9%増となった。愛宕山地域開発事業跡地(岩国市)で、市民と共同利用する野球場や陸上競技場、約130戸の米軍家族向け住宅などの整備事業が本格化する。(村田拓也)

(2015年1月15日朝刊掲載)

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