×

ニュース

山口県と市町の首長歓迎 15年度予算案の米軍再編新交付金 「艦載機」反対派は批判

 在日米軍再編で基地負担が増えるとして、政府が14日に閣議決定した2015年度予算案に県への新たな交付金18億5200万円が計上された。県と岩国市など1市2町の首長は歓迎し、「5年間で100億円」の確保を求める声も出た。米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転に反対する住民からは「移転への地ならしが進む」との懸念が広がった。

 同基地には14年夏、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)からKC130空中給油機15機が移転。17年ごろまでには米海軍厚木基地(神奈川県)の艦載機59機の移転が予定されている。「新たな交付金はありがたい。県の負担や役割に目が向けられ、評価する」。村岡嗣政知事は新交付金の創設を歓迎した。

 新交付金は、岩国市と和木、周防大島両町で県が実施するハード整備に使える。具体的な使い道は「産業振興や安心安全の確保という点で有効に活用したい」と明言を避けたものの、道路や河川の整備、治山などの事業に充当する方針だ。

 使い道について岩国市の福田良彦市長は「趣旨に沿い地元のために活用を」、和木町の米本正明町長は「住民の目に見えるよう新規事業へも配分を」と注文。周防大島町の椎木巧町長は「狭い県道の改良や改修に充ててほしい」と望んだ。

 新交付金をめぐっては、県議会などで「5年で100億円規模が必要」との声が出ていた。平均すれば年20億円となり、今回の予算額はやや下回った。

 県と大竹市を含む2市2町の県議、市町議でつくる「岩国基地問題議員連盟連絡協議会」の畑原基成代表(県議会副議長)は「年度ごとにばらつきがあるのは理解できる」と受け止めた。その上で、政府には「今後、要望通りの総額を確保してほしい」と期待した。

 新交付金は、艦載機移転などの米軍再編に「円滑かつ確実な実施に特に理解を示し、協力している都道府県」を対象にする。愛宕山を守る市民連絡協議会の岡村寛世話人代表は「移転容認への包囲網が狭まっている。お金さえ払えば何でもできるという、政府の思惑が透けて見える」と批判した。

(2015年1月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ