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原爆症認定 改善要求 定期協議 厚労相に被爆者側

 原爆症認定制度の課題を話し合う日本被団協などと塩崎恭久厚生労働相との定期協議が15日、厚労省で開かれた。塩崎氏は2013年12月の認定基準見直しでがん以外の認定が増え、審査状況を見守る姿勢を強調。抜本的な制度改正を要求している被爆者側は「ゼロ回答だ」と反発した。

 被爆者側は、被団協、原爆症認定集団訴訟全国原告団、同訴訟全国弁護団連絡会から計15人が出席。被爆者を中心に約100人が傍聴した。被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長(82)は「新しい基準でも司法と行政の乖離(かいり)は埋まっていない。政治家の立場で要望に応えてほしい」と、塩崎氏に政治主導による改善を求めた。

 塩崎氏は、14年のがん以外の病気の申請件数が570件で前年の約3・4倍、認定件数も169件と約6・3倍になったと説明。「非がんの認定は改善の方向にある」との認識を示した。

 これに対し、被団協の松浦秀人代表理事(69)は「100人を超える被爆者が裁判を起こしている」と指摘。弁護団連絡会の安原幸彦副団長も、国の敗訴が相次いでいる現状を踏まえ「訴訟できる人だけが救済されるのでは公平な制度といえない」と批判した。

 塩崎氏は「重く受け止めなければならない」と述べる一方、「新しい基準がどういう物差しとして機能するかをまずは見たい」との見解を繰り返した。

 原爆症認定集団訴訟の終結に向け、国と被団協が交わした確認書に基づく定期協議で、開かれるのは1年4カ月ぶりで4回目。(藤村潤平)

(2015年1月16日朝刊掲載)

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