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イコモス国内委顧問ら再考要求 かき船移転「問題ない」 松井市長

 広島市中区の元安川にある船上飲食店、かき船「かなわ」の原爆ドーム南約200メートルへの移転計画について、日本イコモス国内委員会(東京)の事務局長たちが市に再考を求めたのに対し、松井一実市長は15日の記者会見で、「問題ない」と反論した。

 事務局長と顧問は13日、移転先を視察した後「世界中の人が平和を願う場としての精神性を低める可能性がある。平和観光のセンスを世界基準にする必要がある」と指摘した。

 松井市長は、ドームの世界遺産登録を前に定めた周辺の美観形成要綱なども踏まえて対応したと強調。「精神的な場というのは今までにない基準。センスがないなど、個人的な価値観で判断されるなら相当、恣意(しい)的だ」と述べた。

 さらに、移転先上流の川岸には、すでに飲食店や船の発着場があるとし「何が問題か具体的な話になっていない。委員会から意見や要望が出れば問題点を整理し、市の考え方を理解してもらえる対応をする」と話した。

 かなわは治水上の問題で国に現在地からの移転を求められ、水の流れがほとんどない区域を移転先に選んだ。平和活動に関わる市民の有志は「ドームに近く、ふさわしくない」として反対している。(菊本孟)

(2015年1月16日朝刊掲載)

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