×

ニュース

福島第1原発 海水ヨウ素上昇3355倍 放水口付近

 経済産業省原子力安全・保安院は30日、東京電力福島第1原発1~4号機の放水口付近で29日午後に採取した海水から、法令が定める濃度限度の3355倍のヨウ素131を検出したと発表した。これまでで最も高い数値。

 26日に約1850倍を記録した後は減少傾向だったが、上昇に転じた。保安院は「(原子炉の水が)海に流れ込んだ可能性がある。たまり水などが出て行かないよう対処したい」としている。

 枝野幸男官房長官は30日の会見で事故について「原子炉の中の燃料棒の温度がある程度安定的に下がるには相当の時間がかかる。できるだけ早く収束の見通しを申し上げたいが、今の段階で責任を持って言える状況にない」と話した。

 経産省は30日、非常用電源の確保など津波に対する安全対策を電力各社に実施するよう指示した。

 復旧作業関連では、1号機タービン建屋外の立て坑の水に含まれるヨウ素131の濃度が1立方センチ当たり5・4ベクレルと低水準だったことが判明。大半が津波の際に入った海水とみられるが、保安院は「炉内の放射性物質が含まれており、海に流すことは考えていない」として、4号機に隣接する共用の廃棄物処理建屋に移す準備を進めた。

 炉心の冷却機能の復旧に向け、1~3号機のタービン建屋内のたまり水を復水器に移す作業が急務となっている。保安院によると、排水作業が24日に始まった1号機では水位が40センチから20センチに下がり「一定の成果があった」としているが、復水器が満水に近くなったため東電は29日朝に作業を停止。2、3号機と同様に、復水器の水をより先のタンクに送ってたまり水を入れる余地を確保する作業を進めた。

(共同通信配信、2011年3月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ