×

ニュース

「東日本大震災 支え 結ぶ」 被曝治療の蓄積生かす

■記者 川井直哉

広島大の越智光夫理事=医療担当=(58)

 広島大では、東日本大震災による福島第1原発事故を受け、病院内に緊急被ばく対策委員会を設置。すぐに現地へ医療チームを派遣し、自治体や被災者、国への情報提供に力を入れている。

 長年、蓄積してきた被曝治療を生かすときと考え、多くの医師や看護師が汗を流してくれている。ヒロシマの医療関係者への現地の大きな期待を感じる。

 広島大病院長として、広島大原爆放射線医科学研究所の神谷研二所長とともに福島市を訪れた。30日に佐藤雄平福島県知事や同県立医科大の菊地臣一理事長兼学長に面会し、今後の全面協力を申し出た。

 同医科大とは今後、被曝者の治療について包括的な協定を結ぶ方向だ。被災現場に加え、長期的なスパンで被曝治療に協力していく考えだ。

 福島県内では、原発から30キロ圏外の放射線の値は健康に影響を与えるほどではない。医療チームでは被曝した子どもがいないか、400人の甲状腺を検査したが、問題は見つからなかった。

 だが、情報不足もあり、被災住民が被曝への不安を想像以上に募らせているのが現状だ。正しい知識をきちんと伝える責務も広島大にはあり、積極的に取り組んでいきたい。

越智光夫氏
 島根医科大(現島根大)教授から2002年広島大教授に就任。2004年副病院長。2007年から11年3月末まで病院長。専門は整形外科、再生医療学。

(2011年4月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ