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平和の祈りを音に乗せて 被爆70年・15年度広響プログラム ベートーベン中心に展開

 広島交響楽団は、被爆70年を迎える2015年度プログラムを「平和と希望への祈り」の年間テーマで届ける。中心に据えるのは、不屈の作曲家ベートーベンの音楽。国際色豊かな指揮者やソリストとともに、被爆地から音楽で平和を発信する。(余村泰樹)

 定期演奏会は、12月にも組んで例年より1回増やし、8月を除く毎月の11回を予定。幕開けの4月は、音楽監督・常任指揮者の秋山和慶のタクトで、ベートーベンの交響曲第4番やプロコフィエフの歌劇「戦争と平和」からの交響組曲などを奏でる。秋山は9月に第7番、来年1月には定演では21年ぶりの第9番「合唱」でベートーベンの交響曲を指揮。「歴代最高の第9を目指す」と意欲を燃やす。

 日中韓が国境を越えて響き合うのは5月。中国人指揮者ラン・シュイと韓国系米国人ビオラ奏者リチャード・ヨンジェ・オニールを迎える。

 12月は、広島市佐伯区出身の指揮者大植英次が登場。広響第1コンサートマスター佐久間聡一が定演初ソリストを務め、同一内容で2日間公演する。

 来年2月は、広島市出身の作曲家糀場(こうじば)富美子が被爆70年のために生み出した「摂氏(せっし)4000度からの未来」を広響3代目音楽監督の高関健が導く。同3月には、2013年に世界的チェロ奏者ミッシャ・マイスキーと共演し、存在感を示したラトビア人指揮者アンドリス・ポーガが、フランスピアノ界の巨匠ミシェル・ダルベルトと相まみえる。

 ソリスト陣では、9月のプレミアム定演に出演するバイオリニストの諏訪内晶子が目を引く。モーツァルトのバイオリン協奏曲「トルコ風」にどんな息吹を吹き込むか注目したい。

 10月は広響首席奏者のマーティン・スタンツェライト(チェロ)と安保恵麻(ビオラ)の2人が、R・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」でソリストとして共演。11月は世界最高峰ウィーンフィルのコンサートマスター、フォルクハルト・シュトイデが2年ぶりに登場し、指揮者なしの演奏をリードする。

 定演以外も見逃せない。8月には東京・サントリーホールで初公演。直前に広島で開く「平和の夕べ」コンサートと同じ内容で、世界的ソリストと秋山が共演する。全4回のディスカバリー・シリーズは、生誕150周年を迎えるシベリウスの全交響曲を演奏。北欧音楽を得意とする広響が、その深化を披露する。

<定期演奏会の日程>

①回
②日程
③指揮/ソリスト
④曲目

①348
②4・17
③秋山和慶
④ベートーベン:序曲「レオノーレ」第3番/同:交響曲第4番/プロコフィエフ:歌劇「戦争と平和」からの交響組曲(クリストファー・パーマー編曲)

①349
②5・22
③ラン・シュイ/リチャード・ヨンジェ・オニール(ビオラ)
④ベートーベン:交響曲第1番/ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」

①350
②6・12
③ユベール・スダーン/佐藤卓史(ピアノ)
④ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」/シューマン交響曲第2番(マーラー版)

①351
②7・24
③ジョセフ・ウォルフ/川崎洋介(バイオリン)
④モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲/ブルッフ:スコットランド幻想曲/ベートーベン:交響曲第6番「田園」

①352
②9・15
③秋山和慶/諏訪内晶子
④モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲/同:バイオリン協奏曲第5番「トルコ風」/ベートーベン:交響曲第7番

①353
②10・30
③アラン・ブリバエフ/マーティン・スタンツェライト(チェロ)安保恵麻(ビオラ)
④ベートーベン:交響曲第2番/R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」

①354
②11・10
③フォルクハルト・シュトイデ(コンサートマスター)
④モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲/メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲/ベートーベン:交響曲第5番「運命」

①355
②12・15、16
③大植英次/佐久間聡一(バイオリン)
④モーツァルト:バイオリン協奏曲第3番/マーラー:交響曲第5番

①356
②1・24
③秋山和慶/安藤赴美子(ソプラノ)藤井美雪(アルト)高橋淳(テノール)トーマス・バウアー(バリトン)ひろしま特別合唱団(合唱)
④マーラー:さすらう若人の歌(バリトン)/ベートーベン:交響曲第9番「合唱」

①357
②2・19
③高関健
④ベートーベン:「献堂式」序曲/糀場富美子:摂氏4000度からの未来/ショスタコービッチ:交響曲第10番

①358
②3・11
③アンドリス・ポーガ/ミシェル・ダルベルト(ピアノ)
④ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番/プロコフィエフ:交響曲第1番「古典交響曲」/ストラビンスキー:バレエ「火の鳥」組曲(1919)

開演は午後6時45分、1月24日のみ午後3時。会場は広島文化学園HBGホール

(2015年1月24日朝刊掲載)

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