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美術展中止相次ぐ 海外から出展 日本への貸し出しに難色

 東日本大震災や福島第1原発事故の影響で、海外から借りる作品を目玉に据えた美術展の開催中止や展示内容の変更が相次いでいる。海外の美術関係者が、地震や原発問題で揺れる日本への作品貸し出しに難色を示しているためだ。

 横浜美術館(横浜市)は、ロシアのプーシキン美術館が所蔵するフランス絵画約65点を展示する「プーシキン美術館展」(2日~6月26日)を中止した。「プーシキン美術館とロシア連邦文化省から、震災や原発事故などにかんがみ、現時点では日本へ作品を貸し出せないという判断が伝えられたため」という。

 三井記念美術館(東京)は、米ホノルル美術館所蔵品による「北斎展」(16日~6月19日)を「東日本大震災によるホノルル美術館側の事情」で中止に。また、フランス政府が美術品の日本向け輸出停止を命じたため、山梨県立美術館(甲府市)の「モーリス・ドニ」展(16日~6月12日)と広島県立美術館(広島市中区)「印象派の誕生」展(5日~5月29日)も中止となった。

 根津美術館(東京)の「KORIN展」(16日~5月15日)では、尾形光琳筆の国宝「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」(館蔵品)を米メトロポリタン美術館所蔵「八橋図屏風」と並べる予定だったが、八橋図の出展が延期されたため、燕子花図を中心にした館蔵品展に変更した。

 欧米の美術館から優品を集める東京国立博物館の「写楽」展も、5日開幕を5月1日に延期したが「海外からの出展作品が予定通り全てそろう確証はない」という。

(共同通信配信、2011年4月3日朝刊掲載)

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