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「東日本大震災 支え 結ぶ」 放射線 正しい知識を

■論説副主幹 山内雅弥

福島県アドバイザー就任 広島大原医研・神谷研二所長に聞く

 福島第1原発事故による放射能汚染の長期化が懸念される福島県。広島大原爆放射線医科学研究所の神谷研二所長(60)が同県の放射線健康リスク管理アドバイザーと県立医大の特命教授に任命された。当面の課題を聞いた。

 ―現状をどうみますか。
 空気中の放射線レベルは徐々に下がってきている。当初に比べ県民の動揺も収まりつつあるようだ。一方で低い線量を長期間浴びる新たな問題に直面している。

 ―アドバイザーにどんな期待が寄せられていますか。
 新学期を迎え、子どもを持つ親の不安は分かる。子どもの放射線に対する感受性は高いだけに、学校を中心とした子どもの健康管理について助言したい。  来週からセミナーを開いて校長や教員に正しい放射線の知識を持ってもらう。その上で全県を回り、親や子どもたちにも直接話ができればと思っている。

 ―県立医大ではどんな役割を担うのですか。
 事故がもたらした健康影響に関する調査や医療支援の拠点だ。専門家が少ないので長崎大などと協力してサポートする。広島大としても医大内に活動の拠点を置き、スタッフを常駐させたい。

 ―内閣官房の政策調査員にも任命されました。
 課題があるときに医学の専門家の立場から意見を述べる。他のメンバーと交代で詰めることになる。

 ―今後の抱負を聞かせてください。
 被爆者医療の経験、実績を原子力災害で苦しんでいる人に役立てられるよう全力を挙げる。放射能汚染が長引けば恐怖も慢性化する。心理面のケアがいっそう重要だ。

(2011年4月5日朝刊掲載)

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