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「東日本大震災 支え 結ぶ」 継続的な医療の提供必要

■記者 鴻池尚

広島市医師会の津谷隆史理事(56)

 広島市医師会は災害時の相互支援協定に基づき、3月18~26日に仙台市に医師や職員を派遣し、遺体の検視や避難所の診療室運営に当たった。先発隊として19日に広島を出発。避難所となった若林区の六郷中学校での診療室設置に携わった。

 避難してきた患者の症状は、風邪や急性胃腸炎などで比較的軽かった。だが、衛生状態の悪い避難所での生活が長引けば、ストレスによる症状の悪化や嘔吐(おうと)下痢症などの感染症が広がる恐れがある。必要なのは、継続的な医療の提供だ。地元の医療機関の再生に協力しながら長期的観点で支援していくことが大切だ。

 東日本大震災は被害が広範囲なため、行政が避難地の医療活動の実態をつかみきれていない。無医地区になった地域もあったと聞いた。統一して指示を出すコーディネーターが必要ではないか。

 個人的に感じるのは自宅での医療が要る患者へのフォローだ。津波などで施設が壊滅して医療がストップしていたり、福島第1原発事故を受け避難者が続出したりした地区が対象になる。

 在宅医療が必要な患者と家族を1カ所の施設に受け入れ、治療していく方法もあるのではないか。避難を余儀なくされる地域の医師やスタッフ、ヘルパーたちも一緒に受け入れて対応するなど、ニーズがあれば柔軟に対応することが重要だ。

(2011年4月6日朝刊掲載)

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