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かき船移転「懸念」 イコモス国内委 広島市へ文書

 広島市中区の元安川にある船上飲食店、かき船「かなわ」の原爆ドーム南約200メートルへの移転計画で、非政府組織(NGO)の日本イコモス国内委員会(東京)は30日、移設への「強い懸念」を表明する文書を市に届けた。

 世界遺産であるドームのバファーゾーン(緩衝地帯)は、景観を守るだけでなく「鎮魂や平和への祈りと深いつながりがある」と強調。ゾーン内の南端にあるかなわがドームに近づく▽移転先周辺の護岸に慰霊碑がある―などを理由とした。市民グループが移転に反対の声を上げている点を踏まえ「多くの市民や被爆者を交えての徹底的な議論が必要」とも指摘した。

 西村幸夫委員長(東京大教授)名で29日付。経済観光局の谷本睦志局長は「文化庁と相談しながら、委員会や地元団体の理解を得られるよう説明を尽くしたい」と話した。

 また同委員会は、広島県が鞆港埋め立て・架橋計画を撤回した福山市鞆町のまちづくりをめぐって、県が示した鞆港西側の護岸整備案についても、景観への悪影響に対する懸念を示す声明文を発表した。

 委員会は世界遺産選定の調査や評価に当たる国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内組織。「強い懸念」に法的拘束力はない。(菊本孟、金刺大五)

(2015年1月31日朝刊掲載)

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