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仏放送局「原爆の意味」追う ドキュメンタリー制作 被爆証言 広島で取材

 フランス国営放送は被爆70年となる今夏に向け、原爆投下と第2次世界大戦をテーマにした歴史ドキュメンタリー番組を制作する。取材班は1日、広島市で取材をスタート。被爆者の切明千枝子さん(85)=安佐南区=の被爆証言を約1時間半かけて収録した。番組は生存者や歴史研究者の証言を重ねながら、米国による原爆投下の歴史的な意味を問う内容になるという。

 ディレクターのニコラ・ジャロさん(49)と撮影スタッフの計4人が切明さんの自宅を訪問。広島県立広島第二高女4年だった切明さんは、建物疎開の作業中に大やけどを負って亡くなった下級生たちを次々に火葬したり、その後も放射線の後障害や根拠のない差別に苦しんだりしたことを語った。「無残に亡くなった子どもたちのことを、フランスや欧州の人にも知らせてほしい」と話していた。

 フランスは米国、ロシアに次ぐ核保有国。ジャロさんは「原爆と大戦、冷戦下の核軍拡の歴史、原爆投下への多様な見方について考える上で、被爆者の言葉を伝えることはとても重要だ」と話していた。

 番組は1時間程度で、今夏にも放送する予定。5日まで広島に滞在し、ほかの被爆者や広島市立大広島平和研究所の研究者たちに話を聞く。その後、フランスや米国でも取材する。(明知隼二)

(2015年2月2日朝刊掲載)

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