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被爆100証言 ネット公開 「ヒロシマ・アーカイブ」7月にも 

■記者 山本堅太郎

首都大東京准教授 女学院高生と連携 地図情報も駆使

 広島の被爆者約100人の証言と被爆地点を紹介するインターネットサイト「ヒロシマ・アーカイブ」の7月公開を目指し、制作が進んでいる。首都大東京の渡邉英徳准教授(36)が、広島市中区の広島女学院高の生徒たちと連携して資料を収集。現市街地と被爆時の位置関係を重ね、惨禍を具体的にイメージできるようにする。

 アーカイブには、ネット上の地図「グーグルアース」を使用。現在の広島市の地図に原爆投下前の町割りを重ね、被爆者の顔写真を被爆した場所に配置する。写真をクリックすると、証言の全文や平和への思いが表示される。証言は、女学院高同窓会所有の証言集や東京・八王子の被爆者の会の資料を使う。原爆資料館(広島市中区)からも地図などの提供を受ける。

 渡邉准教授は昨年7月、被爆65年に合わせて長崎の被爆者100人の証言を集めた「ナガサキ・アーカイブ」を発表。これを見た西区の専門学校講師石堂恵さん(53)が「広島でもできないか」と渡邉准教授に依頼した。石堂さんの教え子の学生と、呼び掛けに応じた女学院高生徒が資料収集に協力している。

 3月27日には、同高の1年生約10人が学校で、廿日市在住の被爆者野村久子さん(82)にインタビューした。爆心地に近い十日市町で電車の中にいたが、奇跡的に助かった。その後、家族と再会するまでの経緯をカメラに収めた。野村さんは「核兵器の悲惨さを若い人が中心になって世界に伝えて」と訴えた。

 渡邉准教授は「次世代の語り部を育むようなコンテンツにしたい」と意気込んでいる。

(2011年4月8日朝刊掲載)

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