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被爆者援護法 「国の償い」明記を 被団協要求案 「核兵器の廃絶」も

■記者 岡田浩平

 被爆者援護法の抜本見直しを目指す日本被団協の検討委員会は8日までに第2次改正要求案をまとめた。法の目的として命や生活への原爆被害に対し「国の償い」を明記するよう強調。被爆者の意見を集約し、6月の総会で最終案を決める。

 要求案は第1次案にはなかった前文や6項目の要求で構成。原爆被害を放射線による健康被害に限定する現行法を批判し、原爆被害への償いを求める姿勢をより明確にした。

 具体的には法の趣旨として「ふたたび被爆者をつくらない決意」のもと「原爆被害に対する国の償い」と「核兵器の廃絶」を明記するよう要求。原爆死没者に謝罪し、死没者名を刻む碑の設置を国に求めた。従来通り、遺族への弔慰金の支給なども盛り込んでいる。

 一方、第1次案にあった原爆症認定制度の改善案は削除。原爆放射線と病気との関連を重視して国が認定する現行制度に捉われるのは抜本見直しにならないと判断した。代わりに、全ての被爆者に支給する「被爆者手当」新設と障害に応じ加算する仕組みを提案した。

 ほかに被爆2世、3世への施策充実▽被爆者健康手帳の交付要件の緩和▽海外在住被爆者への法の完全適用―も掲げる。  また今回の案は、被団協の結成当初から使っていた「国家補償」という文言をやめて「国の償い」に統一。「国家補償は金銭補償だけを想像しがちだ」などの意見を踏まえた。田中熙巳(てるみ)事務局長は「さらに議論を詰めて、各政党に改正を働き掛けたい」と話している。

(2011年4月9日朝刊掲載)

被爆者援護法
 1995年施行で、被爆者健康手帳の交付や原爆症認定制度、手当の支給など国の援護施策を規定する。日本被団協は「原爆被害を国に償わせることが、再び被爆者をつくらない道筋になる」として「国家補償」の趣旨を持つ援護法制定へ運動してきた。2009年から法改正に向けた議論を本格化、運動を再強化している。

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