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甲状腺しこりと因果関係 放射線量 被爆者調査で判明

 広島、長崎で小児期に被爆した人は、浴びた放射線量が高いほど甲状腺に最大径1センチ以上の大きな結節(しこり)ができやすかった、とする研究結果を、放射線影響研究所(広島、長崎両市)がまとめた。2日までに米医学誌で発表した。

 0~9歳で被爆し、原爆による甲状腺被曝(ひばく)線量が推定できている2668人を2007~11年に調査。うち470人(17・6%)から1センチ以上のしこり(切除済みを含む)が見つかり、線量と有病率は因果関係があった。1センチ以上のしこりでは、約1割の確率でがんが見つかるとされる。

 1シーベルト(爆心地から1キロ強の距離で浴びた線量に相当)の被曝では、線量ゼロの人と比べて有病率は2・65倍。被爆時年齢が若いほど高リスクで、0~2歳では5・26倍に上った。一方、小さなしこりと線量とは関連がみられないとした。放射線はしこりを作るより、肥大させることに作用していると推測している。

 小児期の被曝線量としこりの関連を、数千人規模で調べた研究は初めて。今泉美彩研究員は「単純比較はできないが、福島第1原発の長期的影響を見通す上でも参考になるデータだ」としている。(馬場洋太)

(2015年2月3日朝刊掲載)

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