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パキスタンに診療所 難民支援 広島のNPO建設

■記者 増田咲子

 被爆地から国際協力に取り組む広島市中区のNPO法人「ANT―Hiroshima」(アント)が、パキスタン北西部のシャムシャトーに診療所を建設した。現地の非政府組織(NGO)と協力し、医療が受けられない地域住民やアフガン難民を支援する。

 同地域一帯にはアフガニスタンからの難民を含め約20万人が住むという。診療所はれんが造り平屋約200平方メートルで、医師1人と保健師2人が診察を3月から始めた。

 アント代表理事の渡部朋子さん(57)=安佐南区=が2002年に現地を訪れ、厳しい医療環境に触れた。最も近い病院でもロバに乗って半日ほどかかり、栄養が満足に取れない母親たちは出産時に新生児と死亡する例が珍しくなかった。

 医療施設を望む住民の声を受け、アントは06年から現地の学校で週1回の診察を開始。翌年には診療所建設を始めたが治安の悪化で中断を余儀なくされ、欧州の複数のNGOと協力して開所させた。

 渡部さんは「現地の人たちが自らの力で運営できるようになってこそ平和が訪れたと言える。地域住民と難民が協力する場にもなってほしい」と願っている。

(2011年4月14日朝刊掲載)

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