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福山空襲70年 継承に力 平和の大切さ次代へ 遺跡に表示 証言記録

 福山市は、旧市街地の約8割を焼失した福山空襲から70年となることし、空襲被害の継承に力を入れる。市内にある戦争遺跡の近くに説明表示を付けたり、体験者の証言を記録したりする方針を固めた。戦争の悲惨さと平和の大切さを次世代に伝えていく。(小林可奈)

 広島に原爆が投下されて2日後の1945年8月8日夜、米軍のB29爆撃機91機が福山市の上空に飛来した。約1時間にわたって焼夷(しょうい)弾を投下し、314ヘクタールで1万179戸が焼失。354人が犠牲になった。

 市内には今も、70年前の焼夷弾の跡が残る戦争遺跡が点在する。吉津町と胡町を結ぶ土橋は石柱の一部が被弾で損壊。福山城の石垣にも戦火に焼かれ、赤茶けた部分が残る。ただ、現地に説明板などはなく、こうした遺跡はあまり知られていない。昨年9月の市議会本会議でも表示を求める意見があった。このため、市は取り付けに向けて、詳細を詰めている。

 また、空襲の体験者が高齢化し、亡くなる人も増える中、広く証言を集める取り組みも進める。市内の若者の平和に対する意識向上にも努める方針だ。

 市は2007年から市内にある戦争遺跡巡りを毎年開いている。また昨夏は、福山空襲や原爆被害について学ぶ講座「ふくやまピース・ナビ(平和案内人)」を初めて開催している。70年の節目を迎え、記憶の風化を防ぐ取り組みを強める。

(2015年2月5日朝刊掲載)

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