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福島第1原発 被曝量 住民を個別測定 がんセンター理事長

 国立がん研究センター(東京)の嘉山孝正理事長が14日、同センターで記者会見し、福島第1原発の比較的近くの住民に、個人の被曝(ひばく)量を把握できる小型測定器を配布すべきだとの提言を公表した。

 嘉山理事長は、住民の累積被曝量は、健康影響が生じるとされる100ミリシーベルトを大きく下回っていると考えられると強調。その上で「配布により、科学的根拠を基に住民に安心してもらえる。危険な場合も理由を分かってもらえる」と目的を説明した。今後、国や福島県に働き掛ける。

 住民の外部被曝の量は、現状では大気中の線量などから推定するしかないが、測定器を使えば正確に把握できる。同センターによると、配布を想定しているのは医療関係者が普段から使う「フィルムバッジ」。国内に在庫が約2万個あるという。

 原発作業員らが着けている線量計とは違い、瞬時に線量の把握はできないが、定期的にメーカーが回収して被曝量を測定、1~2週間で結果が分かる。1回3千円程度の費用は「国などが負担すべきだ」としている。

 嘉山理事長は会見で住民の無料がん検診や、健康影響の有無に関する長期的な追跡調査の必要性も指摘。追跡調査は、十分に分かっていない低線量の放射線の影響を解明する手掛かりになる可能性があるが、個人情報の管理など課題もある。

(共同通信配信、2011年4月15日朝刊掲載)

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