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ヒロシマの求心力向上 被爆70年事業 広島市、新たに16追加

 広島市は9日、ことしの被爆70年に合わせた「記念事業」の全容を明らかにした。昨年2月の公表分に16加え、50事業とした。核兵器廃絶への道筋を考える国際会議や平和を発信する催し、被爆資料の保存・活用…。幅広く「平和都市としての求心力の向上」を目指す。別に、被爆100年を見据えた施策に位置付ける33の「まちづくり先導事業」も正式発表した。

 記念事業の内訳は、「平和の発信力の強化」(13事業)「被爆者援護と次世代への平和への思いの継承」(11事業)「スポーツ・文化芸術による平和の体現」(19事業)「復興したまちの魅力の再発見とさらなる発展」(7事業)。

 追加事業として、改修のため一部閉館している原爆資料館(中区)の資料など計110点を7月中旬から2017年度末まで、旧日本銀行広島支店(同)で展示する。被爆後の「供木運動」で国内外から寄せられた木々の樹勢調査を実施。米国から贈られるハナミズキの植樹式を平和大通りで開き、キャロライン・ケネディ駐日大使の出席を要請している。

 昨年決まっていた事業では、市内で19年ぶりとなる国連軍縮会議が8月26~28日にあり、各国の為政者を含む約100人の出席を見込んでいる。14年度から進める猿猴橋(南区)の復元や、レストハウス(中区)の改修も引き続き取り組む。これらの経費で4億5600万円を9日発表した当初予算案に計上した。

 一方、まちづくり先導事業は、デルタ市街地や周辺部など地域ごとの魅力を高める33事業を計画。うち比治山公園(南区)の再整備に向けた「平和の丘」構想作りや、住宅団地内の老朽化した空き家の調査などの新たな20事業の必要経費は、4月の市長選後に組む補正予算案に盛り込むという。当初予算案にはJR広島駅南口(南区)の再整備や河岸緑地の整備など継続の13事業を取り込んだ。

 記者会見で松井一実市長は「節目の年に合わせて平和への思いを形にしようとの市民は多く、市の記念事業はあくまで例示。平和や核兵器廃絶の重要性を考える機会にしてほしい」と話した。(田中美千子)

<広島市の主な被爆70年記念事業>

【平和の発信力の強化】
・旧日本銀行広島支店での原爆資料館収蔵品の展示など(824万円)
・国連軍縮会議の開催(2179万円)
・折り鶴再生紙で作ったポストカードの原爆資料館来館者への配布(910万円)

【被爆者援護と次世代への平和への思いの継承】
・被爆関連映像資料のアーカイブ化(903万円)
・平和記念式典への在外被爆者と遺族の招待(838万円)
・市内の地域、職域ごとの原爆死没者慰霊式典をまとめた冊子の出版(121万円)
・世界スカウトジャンボリーの広島ピースプログラム開催支援(1289万円)

【スポーツ・文化芸術による平和の体現】
・NPT再検討会議がある米ニューヨーク・国連本部での邦楽コンサート(500万円)
・平和をテーマにした創作バレエのコンサート(250万円)
・第2次世界大戦前後の広島の変化をテーマにした企画展示の開催(525万円)
・障害者によるピースアートコンテストと作品展、作品の商品化など(838万円)

【復興したまちの魅力の再発見とさらなる発展】
・平和を象徴する緑の保存・継承事業の実施(472万円)
・猿猴橋復元事業の実施(1億9千万円)
・全国花のまちづくり広島大会の開催(375万円)

※かっこ内は2015年度当初予算案に盛り込まれた額

(2015年2月10日朝刊掲載)

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