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福島第1原発 海への放出1500億ベクレル 放射性物質

 東京電力は15日、福島第1原発から4~10日に意図的に海に放出した汚染水に含まれる放射性物質の総量が、約1500億ベクレルだったと経済産業省原子力安全・保安院に報告した。放出は炉心から漏れたとみられる高濃度の汚染水の移送先を確保する目的。集中廃棄物処理施設内の水や5、6号機の地下水など比較的低濃度の計1万393トンに上った。

 保安院は「法令の濃度限度の10~100倍」と説明。総量は当初計画の1700億ベクレルより少なかったが、2号機取水口付近ですでに高濃度汚染水が流出していたこともあり、詳細な影響評価やモニタリングの強化、魚介類の放射線量測定を実施し、結果を公表するよう東電に指示した。

 東電は福島、茨城両県の県漁連などにも結果を報告し「今後こういうことがないようしっかり対応してほしい」と厳しい指摘を受けたという。

 東電は15日、2号機と3号機の取水口近くの海中3カ所に、放射性物質を吸着する鉱物ゼオライト100キロが入った土のう3袋を投入。汚染水に含まれる放射性セシウムなどの拡散を防ぐ狙いだが、既に大量の放射性物質が海に広がっており、効果がどれだけあるかは未知数。拡散防止用の鉄板を2号機の取水口前に入れる作業も完了した。

 2号機立て坑の汚染水の水位は上昇傾向。東電は容量約千トン分の仮設タンクを敷地内に設置し、5、6号機の汚染された地下水の移送を計画。集中廃棄物処理施設で水漏れを防ぐ工事も進め、近日中に終わるめどが立ったが、移送開始には時間がかかる見通し。原発本来の冷却機能回復を妨げている汚染水を除去するめどは立っていない。

 松本純一原子力・立地本部長代理は、1~3号機の格納容器内部の確認には「数カ月か、もっとかかる可能性がある」と述べた。

 また3月31日と今月4日に敷地で採取した土壌から微量のプルトニウムを検出。検出は3回目で過去の核実験に伴う国内観測と同レベル。微量のウランも検出した。水素爆発を防ぐため窒素を注入している1号機の原子炉圧力が一時低下。一部が漏れているとみられるが、周辺の放射線量に変化はなく注入を続ける。

(共同通信配信、2011年4月16日朝刊掲載)

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