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被爆70年で50事業 広島市15年度予算案 土砂災害復興加速 3.6%増6067億円

 広島市は9日、2015年度当初予算案を発表した。一般会計は6067億3900万円で前年度比3・6%増。2年連続のプラス編成で、4年ぶりに6千億円台へ達した。ことしの被爆70年に合わせ、50の「記念事業」を展開するため必要分を計上。土砂災害の被災地の復興を加速し、JR広島駅(南区)周辺の開発や学校校舎の耐震化を継続する。4月の市長選を前にした「骨格予算」で、次期市長の下で政策判断を踏まえた予算を追加する。(岡田浩平)

 土砂災害の復旧・復興関連は64億円。避難路となる市道の整備や、土砂、がれきの最終処分を進める。全体で43ある新規事業のうち21は被爆70年記念事業。継続分も含め4億5600万円を盛り込んだ。

 松井一実市長は記者会見で「必然的にやらねばならない事業と予算を取り上げた。政策判断を加味した要素は市民の選択を経て、次のステージでやるべきだ」と述べた。

 
原爆・平和

米国3都市で展示会

 被爆70年の節目に「記念事業」として50事業を打ち出したのに加え、核兵器廃絶に向けた取り組みにも力を入れる。4月27日、米ニューヨークの国連本部で始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて市長たち5人を派遣し、核兵器の非人道性を訴える。

 原爆投下国の米国では、長崎市と連携し、首都ワシントンなど3都市で原爆展を開く。国内原爆展の開催地も、例年の2市程度から5市に増やす。

 20年のNPT再検討会議をはじめとした国際会議のさらなる誘致を目指し、外務省などと協議を重ねる。

 核兵器廃絶の訴えの原点である原爆被害の実態を正しく伝えるため、被爆者の記憶や平和への思いを受け継ぐ「被爆体験伝承者」の養成も続ける。原爆資料館(中区)の全面改修では、東館の工事と展示替えを15年度末までに終える。本館は16年度の着工に先立ち、地下に文化財がないか、今秋以降に発掘調査をする。

 原爆の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康不安を抱える市民向けに医師、保健師による相談事業を継続。病気がちな人には健康診断を勧め、自己負担分を全額助成する

(2015年2月10日朝刊掲載)

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