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大虐殺 どう向き合う 欧州スタディーツアー事前勉強会 広島の学生ら 史実の背景・経過知る

 ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を学ぶため、3月下旬にポーランドとオランダを訪れるスタディーツアー(主催・公益財団法人ヒロシマ平和創造基金)に参加する高校生と大学生が、事前勉強会に参加。広島市立大の先生たちから、ホロコーストの背景や「継承」のポイントなどを聞いた。(二井理江)

 国際学部の卜部匡司准教授(教育学)が「アウシュビッツ・ビルケナウ(強制収容所)とアンネ・フランク」と題して講義。何をどう学び、伝えるかについて「まず史実を学び、そして本当かどうかを議論してほしい。その上でどうすればよいか考え、主張して」と呼び掛けた。

 広島平和研究所の竹本真希子講師(ドイツ史)はホロコーストの背景や歴史を話した。「ユダヤ人」という人種はおらず「ユダヤ教信者」であり、中世の十字軍時代以降に差別、迫害を受けたものの、フランス革命以降は解放されるようになっていた経緯を説明。第1次世界大戦後に、ドイツでヒトラーが政権を獲得した流れや、障害者や同性愛者らユダヤ人以外の被害者がいたことも説明した。

 「過去の克服」として教訓を未来に生かそうとする戦後のドイツの取り組みも紹介。ツアーで予定しているポーランドとオランダの若者との意見交換にも触れ、「それぞれの歴史がある。ヒロシマから何を伝えるのか、しっかり考えてから行ってほしい」と訴えた。

 ツアーに参加する県立広島大1年の時盛郁子(ふみこ)さん(19)は「本や映画で知識を蓄積するだけではなく、丁寧に学んで備えたい」。中国新聞ジュニアライターの高校1年鼻岡舞子さん(16)は「現地で、どんな質問や意見が出るのか想定して幅広く準備したい」と話していた。

(2015年2月10日朝刊掲載)

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