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赤十字総裁が広島視察 被爆者から体験聞く

 赤十字国際委員会(ICRC、本部スイス・ジュネーブ)のペーター・マウラー総裁が11日、広島市を訪れ、中区の原爆資料館を視察した。被爆者の体験証言にも耳を傾け、核兵器のない世界への思いを新たにした。

 マウラー総裁は志賀賢治館長の案内で、被爆直後の爆心地周辺の様子を再現したパノラマ模型などを見て回った。近くの広島国際会議場では、松井一実市長と会談。被爆者の山本定男さん(83)=東区=から、学徒動員中の多くの子どもたちが原爆で亡くなった状況について聞いた。日本赤十字社の近衛忠煇社長も同行した。

 ICRCは、戦争や紛争によって負傷した人の手当てや、離散した家族の再会支援などに取り組む。医療機関などの活動拠点を破壊する核兵器の非人道性を強く訴えている。マウラー総裁は「70年たった今も(放射能の影響などで)苦しんでいる被爆者がいる。核兵器廃絶へ確実に行動を起こしていかないといけない」と決意を述べた。

 またこの日、化学兵器禁止機関(OPCW)のアフメット・ウズンジュ事務局長も広島市を訪問。原爆資料館を視察し、被爆者証言を聞いた。松井市長との会談では、化学兵器禁止条約に基づく同機関の世界的な活動に触れ「核兵器廃絶を目指す取り組みのモデルになるのではないか。核拡散防止条約(NPT)再検討会議があることし、廃絶に向けた何らかの進展があると思う」と期待した。(菊本孟)

(2015年2月12日朝刊掲載)

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