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被爆者の宗像さん、平和の太鼓を米国で演奏

■記者 田中美千子

 広島市中区の胡子神社に伝わる奉納太鼓の継承者で、被爆者の宗像修(いつき)さん(71)=海田町=が11月、米アリゾナ州の「全米原爆展」の会場で演奏する。「被爆に負けず、古里の伝統を守ってきた広島の強さを伝えたい」と意気込んでいる。

 原爆展は市の資料を借り受け、同州在住のシンガー・ソングライター小塩賢さん(42)=愛知県出身=がフェニックス市など3市で企画。宗像さんは弟子3人とともに演奏し、被爆体験も話す。

 宗像さんは南区青崎の自宅で被爆。大きなけがはなかったが、比治山橋付近にいた兄は、一命こそ取り留めたものの生死をさまよったという。父の代から胡子神社の太鼓を演奏しており、戦後、活動を再開。後進育成にも力を注いできた。

 「かつては家族を傷つけた米国を恨んだこともある」と宗像さん。3年前から知人の紹介で太鼓を指導する小塩さんから「米国人に平和の尊さを体感してもらいたい」と要請を受け、米国での演奏を決意した。

 アリゾナでは小塩さんも平和をテーマとするオリジナル曲をギターで弾き語りし、太鼓もたたく。6月下旬に広島入りし、宗像さんと練習を重ねている。

(2008年7月12日朝刊掲載)

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