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政府、賛同せぬ方針 オーストリア要請の核兵器禁止文書 米や関係国に配慮

 昨年末に「核兵器の非人道性に関する国際会議」の議長国を務めたオーストリアから賛同を求められている、核兵器を非難し、禁止への努力を誓う文書について、日本政府が賛同しない方向で検討していることが17日、分かった。米国や米の「核の傘」に頼る関係国への配慮が背景にあり、被爆国日本の姿勢が問われそうだ。

 外務省幹部が明らかにした。人道的な観点から「禁止、廃絶するため全ての関係者や政府、市民社会などと協力する」とする文書に対し、幹部は「(日本政府は)賛成も反対もしない」との考えを示した。

 文書は廃絶・禁止に向けた法整備の必要性にも触れ、核兵器禁止条約の交渉開始への国際的な機運を高める可能性がある。賛同しない理由について、幹部は「核の非人道性の議論が、核軍縮のプロセスを分断するものになってはならない」と説明。禁止条約に反対の立場の米国などへの配慮をにじませた。

 一方で「非人道性の切り口は大切。考えが同じ部分では協力したい」と文書自体に反対を表明する考えはないとした。オーストリアへは、日本の立場や考え方を「しかるべきタイミングで回答する」と述べた。

 文書はオーストリアがまとめ、1月半ばに国連の全加盟国に配布、賛同を求めている。被爆70年の節目に、米ニューヨークで4月末に開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議へ提出するという。(藤村潤平)

(2015年2月18日朝刊掲載)

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