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戦後70年で「陸奥」企画展 山口県周防大島の記念館 3D画像や沈没状況図

 太平洋戦争中に岩国市柱島沖で謎の爆発沈没を遂げた旧日本海軍の戦艦陸奥の海底の船影を捉えた3次元画像や引き揚げ作業前の沈没状況の報告図などを集めた企画展が、周防大島町伊保田の陸奥記念館で開かれている。

 3月31日までの「広島湾に眠る戦艦『陸奥』」展は、水深約40メートルに一部が沈んだままの陸奥の3次元画像の公開がメーン。第6管区海上保安本部が、測量船くるしまで2007年4月、音波の反射を用いて沈没海域で測ったデータを加工して作成した。画像の艦体は全長約120メートル、幅約30メートル。艦底が上を向き、ほぼひっくり返った状態で横たわる。

 深田サルベージ建設(大阪市)が1970年からの引き揚げ作業前に作った沈没状況の報告図(複写)は初公開。縦80センチ、横160センチに艦体の平面図や側面図、損傷状況が記され、沈没原因を「火薬庫爆発」としている。

 企画展は同館の指定管理者、NPO法人周防大島海業(うみぎょう)研究会の是長勝理事(62)が6管に提案して実現。記念館の入館者は96年の7万7543人をピークに減少が続き、昨年は2万250人。研究会は戦後70年のことし、企画展に力を入れ、戦争関連の他の資料館との連携も計画する。

 今西一実理事長(78)は「悲劇を語り継ぐため、情報発信に一層力を入れたい。あらためて戦争や平和を考えるきっかけになれば」と話す。午前9時~午後4時半。無料(常設展示は有料)。陸奥記念館Tel0820(75)0042。(久行大輝)

戦艦陸奥
 1921(大正10)年に完成した旧海軍の主力戦艦。43(昭和18)年6月8日正午すぎ、停泊地だった柱島と周防大島の間で爆発し沈没し、乗員1121人が犠牲となった。生存者は約350人。自然発火や放火など諸説あり、はっきりした原因は不明。引き揚げ作業では乗員の遺骨や遺品とともに、艦首や副砲、スクリューなど艦体の7割が回収され、周防大島町の陸奥記念館などで展示されている。

(2015年2月19日朝刊掲載)

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