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被爆者の肉声世界に 元記者が動画サイトで紹介

■記者 森田裕美

 被爆者の肉声を聴くことができる英語版ホームページ(HP)を核保有国の若者にもっと見てもらおうと、被爆者で元長崎放送記者の伊藤明彦さん(71)=東京都調布市=が、世界最大の動画サイト「ユーチューブ」に自作のCMを投稿した。広島の胎内被爆者が出演し、「声を聞いて」と訴えている。

 CM映像は3分39秒。平和記念公園(広島市中区)で外国人に無料でガイドを続ける胎内被爆者で元高校教員三登浩成さん(62)=広島県府中町=が出演している。原爆被害の概要や伊藤さんのHPについて英語で説明し、続いて被爆者の声の一部が流れる。

 伊藤さんは1960年代から広島と長崎の被爆者の声を集め続ける。2006年には284人の証言を収録した9枚組みCDを自主制作。日英両語版のHPでも発信している。ただ、通算のアクセス数では日本語版が約9万6000に対し、英語版は約3300件。知人から、若者に人気のユーチューブへの投稿を勧められた。

 広島で出会った三登さんに出演を依頼し、6月中旬に原爆ドームそばでロケ。編集はプロの映像作家が手掛けた。7日に投稿したばかりだが、三登さんのもとには以前、案内した米国人から「ネットで見て感動した」と連絡が届いたという。

 伊藤さんは「核保有国の若者にこそアクセスしてほしい」と期待し、中国語やロシア語版のHPの制作も計画している。

(2008年7月11日朝刊掲載)

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