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社説・コラム

防長トーク 岩国日米協会会長 ハビエル・マルティネスさん(34) 

買い物ツアーの狙いは 食文化通し日本を理解

 在日米軍再編に伴い機能強化が進む米海兵隊岩国基地(岩国市)。軍人・軍属やその家族と岩国市民の交流活動に長年取り組んでいるのが岩国日米協会だ。会長を務めるハビエル・マルティネスさんは、日本の食文化に親しんでもらおうと基地外のスーパーへの買い物ツアーを企画するなど、地域との接点を持とうと精力的に活動する。その意義を聞いた。(増田咲子)

 ―昨秋始まった買い物ツアー。企画したきっかけは何ですか。
 基地の外で買い物をする時、どれを選び、どう調理すべきか分からないという声が多かった。スーパーには旬の野菜や種類が豊富な魚介類があるのが魅力。みそ、しょうゆなど日本独特の調味料にも出合える。地元産の食材がそろう「産直市」も人気だ。新鮮で安全なのはもちろん、地元農家を応援したい思いもある。

 「食」をきっかけに、日本文化への理解を深めてほしいというのが狙いの一つだ。日本食の魅力を知れば知るほど、消費にもつながる。

 ―ほかにどんな活動に取り組んでいますか。
 茶道や華道など、日本文化を紹介する祭りを毎年春に開いている。英語教室、料理教室、スピーチコンテストのほか、日米の子どもたちがアユのつかみ捕りや流しそうめんを体験するイベントも催した。長年積み重ねてきた交流活動を、これからも続けていくことが大切だ。

 ―岩国基地には2017年ごろまでに米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機59機が移転を予定するなど機能が強化され、所属機や軍関係者も増えます。市民の間には事件・事故を懸念する声もあります。
 心配する人たちがいるのは知っている。事件などを起こさないことは責任である。私たち協会にできるのは、互いの文化を理解し合うための活動だ。基地に反対する人の信念までは変えられないかもしれないが、ますます必要になる活動だ。

 ―今後の目標は何ですか。
 私自身、日本に対するイメージは「サムライ」や「スシ」など漠然としていた。実際に生活してみると、日本文化をもっと学びたいという気持ちが強くなった。日本人は勤勉で、時間に正確だ。食文化も豊かで、いろんな発見があった。米国人に、日本を知ってもらうための「扉」の役割を果たしたい。

ハビエル・マルティネス
 2013年5月、妻の赴任に伴い、米イリノイ州から米海兵隊岩国基地(岩国市)へ。14年1月に岩国日米協会の会長に就任。協会が開く英会話教室で講師を務める。基地内に事務所がある協会は1957年に発足し、会員は日米の270家族。

(2015年2月23日朝刊掲載)

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