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「ゲン」が語るヒロシマ 原爆資料館で試写会

■記者 金崎由美

 漫画家中沢啓治さん(72)の被爆体験証言でつづるドキュメンタリーの映像作品「はだしのゲンが見たヒロシマ」が完成し、中沢さんを招いた試写会が26日、広島市中区の原爆資料館東館であった。

 中沢さんが白内障の悪化で引退を決めた2009年から約2年間のインタビューで構成する約80分作品。父、姉、弟を失った体験や核兵器廃絶への思いを語っている。中沢さんが、被爆した中区の旧神崎国民学校(神崎小)を訪ねるシーンを織り交ぜ、はだしのゲンの原画も紹介する。

 広島市のNPO法人の渡部朋子代表が企画。東京の映画配給・制作会社「シグロ」に呼び掛け、実現した。中沢さんは「つたない語りだが、核兵器にも戦争にも反対という思いが伝われば本望だ」と喜んだ。

 この日はチェルノブイリ原発事故から25年。福島第1原発事故の収束も見えず、中沢さんは「放射能の怖さは嫌というほど知っている。原発は人間が制御できない」と話した。作品は7月にDVDで発売される。

(2011年4月27日朝刊掲載)

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