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被曝の苦しみ 今も 「ビキニデー」に合わせ東京でシンポ 現地住民が被害報告

 米国によるマーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で遠洋マグロ漁船第五福竜丸などが被曝(ひばく)して61年になる「ビキニデー」(3月1日)に合わせ、核被害の広がりを考えるシンポジウムが東京都港区の明治学院大であった。マーシャル諸島のヒバクシャや広島の研究者たちが、今も深い爪痕を残す被曝の実態を報告した。(藤村潤平)

 ビキニから南東に約520キロ離れたアイルック環礁で閃光(せんこう)を見たテンポー・アルフレッドさん(74)は、住民ががんや甲状腺異常などの健康被害に苦しんできたことを説明。「私たちも被爆地と同じような苦しみを味わっている」と話した。

 米国が核被害を認めたのは、実験場近くの4環礁にとどまり、アイルック環礁は補償の対象外。アルフレッドさんは、放置されていることに「私たちが団結して声を上げることが正義だ」と訴えた。

 広島大の星正治名誉教授(放射線生物・物理学)は「住民の抜けた歯から被曝線量が推定できる」と助言。ビキニ環礁近海で操業していたマグロ漁船乗組員の歯や血液から被曝を裏付けた調査結果を説明した。

 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会の森滝春子共同代表は、インドのウラン鉱山で被曝に苦しむ住民の様子をスライドなどで紹介した。「全ての核を根底から否定しなければならない」と強調し、11月に広島市中区で開く世界核被害者フォーラムへの参加を呼び掛けた。

(2015年3月2日朝刊掲載)

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