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米芸術家から禎子さん肖像 核廃絶の願い込め 折り鶴2000羽で描く 爆心地に近い本川幼稚園へ

 被爆後に白血病で亡くなった佐々木禎子さんの肖像を折り鶴2千羽で表した貼り絵が、広島市中区の本川幼稚園に米国の芸術家から寄せられた。爆心地に近い同園を運営する法縁寺(同区)の僧侶とつながりのある、米ニューヨーク仏教連盟が仲介した。(桜井邦彦)

 寄贈したのは、イラスト、彫刻などを幅広く手掛ける米ペンシルベニア州のジェフリー・ブラウンさん(30)。縦112センチ、横95センチの貼り絵は、黒の濃さの違う11種類の色紙で鶴を折り、それを組み合わせて禎子さんの顔を浮き上がらせている。

 ブラウンさんは、鶴を折り続けた禎子さんの平和への願いに共感し、2007年に制作を始めた。禎子さんが小学6年の時の写真を基にデザインし、5年がかりで仕上げた。

 同園事務長で僧侶の大森顕乗さん(29)が、米国の寺での原爆死没者追悼法要に度々参加してきて同仏教連盟とのつながりがあり、昨年末に寄贈を打診された。作品はことし初め、幼稚園に届いた。

 ブラウンさんは「兵器は決して幸せをもたらさず、憎悪に火を付け、恐怖を植え付けるだけ」と、作品に込めた核兵器廃絶の強い願いを説明。今年8月6日に初めて広島を訪れるという。大森さんは「思いのこもった貼り絵を見て、子どもたちと命の大切さを学びたい」と話す。12日に善正寺(中区)で開くコンサートでお披露目する。

(2015年3月4日朝刊掲載)

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