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台湾在住被爆者支援を 市民団体現地調査 広島市に国と協議要望

■記者 金崎由美

 台湾に住む被爆者を現地調査した広島と長崎の市民団体メンバーが6日、現地の被爆者数の把握や支援体制づくりに向け、国と協議するよう要望書を広島市に提出した。厚生労働省によると、台湾には2009年度末時点で18人の被爆者が確認されているが、本格的な実態調査が行われたことはないという。

 「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の豊永恵三郎広島支部長、メンバーの中谷悦子さん(61)、「在外被爆者支援連絡会」(長崎市)の平野伸人共同代表の3人が、市役所を訪れ、飯冨真治認定担当課長に手渡した。

 豊永さんは「北米などで行っている在外被爆者健診を台湾でも実施してほしい」と要望。平野さんは「現地に被爆者がどのくらいいるのか掘り起こしの調査が必要だ」と指摘した。飯冨課長は「国や長崎市などと協議し、何ができるのか検討したい」と答えた。

 3人は今年1~4月にかけて3回、現地を訪問。被爆者手帳を持つ12人から聞き取りをした。60代の1人を除き80~90代の高齢者。広島で被爆したのは7人で、留学生や軍人として滞在していた。

 豊永さんたちは市役所で記者会見し「現地には被爆者団体や支援団体もなく、被爆者は孤立している。被爆者はどこにいても被爆者だ」と訴えた。6日は広島県にも同様の要望書を提出。近く厚生労働省にも届ける。

(2011年5月7日朝刊掲載)

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