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福島第1原発 作業員 継続健康調査 放影研 新年度から2万人対象

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は2015年度、東京電力福島第1原発事故直後の9カ月間に現場で緊急作業に当たった約2万人を対象に、生涯にわたる健康調査を始める。広島・長崎の被爆者や被爆2世以外を調査対象とするのは初めて。長期間の低線量被曝(ひばく)の影響を明らかにする。

 厚生労働省によると、作業員の長期的な健康調査は初めて。同省が研究機関を公募し、放影研を中心とするグループが選ばれた。

 対象者の2万人は、被曝限度が一時的に通常の2・5倍の250ミリシーベルトに引き上げられた11年3~12月に原発建屋内などで働いた東電社員や作業員。うち174人は、通常作業の5年間の被曝限度の100ミリシーベルトを超えている。

 2万人はすでに全国に散らばり、中国地方では広島県120人、島根県81人、山口県66人の順に多い。

 調査は、ことし2月から福島県で先行して始めている。今夏以降にその他の都道府県で対象者に協力を呼び掛け、同意を得た人に採血や面接などをする。血液は長期保存し、将来がんなどを発症した場合に染色体異常の有無を調べ、被曝線量との関連を分析する。地元で4年に1回程度の健診を受けられるように、放影研は都道府県ごとに協力機関を探す。

 事業費は18年度までで計22億8900万円を見込む。4日、記者会見した放影研の大久保利晃理事長は「内部被曝や毎日の放射線の蓄積という低線量被曝の影響の有無が分かる。被爆者との対比という面でも非常に意義がある」としている。(馬場洋太)

(2015年3月5日朝刊掲載)

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