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留学生 原爆ドーム視察 世界遺産の保存技術学ぶ 広島市中区

 アジア各国出身の広島大留学生たちが4日、広島市中区の原爆ドームを敷地内に入って視察した。世界遺産の保存技術や考え方に触れ、母国の遺跡や歴史的建造物の保全に生かす。

 留学生はタイ、ベトナムなど4カ国の計8人。いずれも広島大が昨年4月に設けた大学院生向けの「たおやかで平和な共生社会創生プログラム」の1期生で、途上国などの課題解決に役立つスキルを学んでいる。同じプログラムを受ける日本の3人も同行した。

 市職員から、原爆ドームの歴史や、劣化状況を把握するために取り組んでいる健全度調査の手法を聞き取り。調査用に仮設された足場を使ってドーム内の上階部分へ上がるなどし、永久保存のために、壁の亀裂に樹脂を塗り込んだり倒れないよう鉄骨で補強したりした保存策を熱心に見て回った。

 インドネシア出身で、工学研究科修士課程1年のアリアンシア・ズルハジさん(23)=東広島市=は「負の記憶が詰まったドームを後世のために残した市民の決断に感動した。母国は古い寺院が多く、保存技術に学ぶところも多い」と話していた。(田中美千子)

(2015年3月5日朝刊掲載)

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