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安全確保 求める声 島根原発1号機廃炉へ 地元自治体反応

 中国電力が島根原子力発電所1号機(松江市鹿島町)の廃炉を正式決定する見通しが明らかになった4日、地元自治体では、長期間にわたる廃炉作業完了までの安全確保を求める声が相次いだ。

 廃炉作業には20~30年かかるとされ、大量の放射性廃棄物が発生する。また、解体作業に入るまでは、原子炉建屋は現状のまま残る。島根県の大国羊一防災部長は「建屋内には使用済み核燃料がプールに残る。県民の安全のため、管理方法や廃炉のプロセスなどを聞く必要がある」。報告を中電に求めていく方針だ。

 同県議会の自民党ベテラン県議は「廃炉に関しては安全確保が一番。作業の着工は、県の事前了解が必要だが、ある程度具体的な計画がないと判断が難しい」と語る。

 一方、現行の国の「電源3法交付金」制度は、廃炉後の地域への支援を想定していない。松江市の松浦正敬市長は、ことし1月の会見で「40年を迎える1号機は原則廃炉にするべきだ」と示す一方、「市財政にとって痛手。廃炉後も、国の何らかの財政支援が必要」と訴えた。

 立地自治体の同県と松江市には、2013年度決算ベースで計約53億円の交付金が国から支払われた。うち松江市分は市税収入の約1割に当たる約30億円で、約7億円分が1号機関連だった。市は交付金を小学校建設や保育所の人件費などに充てている。

 同県の西山彰地域振興部長は「廃炉作業が終了するまでリスクは残る。交付金に替わる財政支援を国に要請している」とする。

 米子、境港両市が30キロ圏に入る鳥取県の平井伸治知事は「40年廃炉は重い原則。廃炉に向けた安全対策では、立地自治体だけではなく周辺自治体へも相談がなければいけない」と訴えた。(川井直哉、松島岳人、川崎崇史)

(2015年3月5日朝刊掲載)

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