「黒い雨」訴訟が月内始動 被害者連絡協 手帳を集団申請へ
15年3月9日
原爆の「黒い雨」被害に対する国の援護拡大を求める集団訴訟へ、広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会は6日、前段となる被爆者健康手帳の交付を23日に広島市へ、24日に広島県へ集団申請することを決めた。現時点で計43人が参加する見通し。却下された後、提訴に踏み切る。
いずれも国が指定する「第1種健康診断特例区域」の外側で雨を浴び、その影響でがんなどを患ったと訴えている。被爆者援護法で「身体に原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった」と定める「3号被爆者」に該当するとし、被爆者健康手帳の交付を申請する。併せて、第1種健康診断受診者証の交付も求める。
安佐北区、佐伯区などの計37人は市へ、安芸高田市、安芸太田町の計6人は県へ、それぞれ書類を提出するという。
黒い雨をめぐっては、同特例区域内で被害に遭った人に無料健診の受診者証が交付され、特定の病気を患うと、被爆者健康手帳に切り替えられる。一方、区域外で雨に遭った場合は援護がない。県や市は援護対象区域を6倍に広げるよう求めるが、国が2012年に見送った経緯がある。
弁護士と訴訟の進め方を相談してきた協議会は、申請が却下され、処分取り消しを求めて提訴する際に、3号被爆者の要件の方が争いやすいと判断した。
この日、安芸太田町の集会所で役員会を開き、5支部計11人で協議して決めた。高野正明会長は「国と論戦し、被害を認めさせるのが真の狙い。長年の訴えを国が無視する以上、最後の手段に出るほかない」と話した。広島市原爆被害対策部は「区域外で浴びた黒い雨を理由に被爆者健康手帳の交付を求められた例はなく、国と協議して対応する」としている。(田中美千子)
(2015年3月7日朝刊掲載)
いずれも国が指定する「第1種健康診断特例区域」の外側で雨を浴び、その影響でがんなどを患ったと訴えている。被爆者援護法で「身体に原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった」と定める「3号被爆者」に該当するとし、被爆者健康手帳の交付を申請する。併せて、第1種健康診断受診者証の交付も求める。
安佐北区、佐伯区などの計37人は市へ、安芸高田市、安芸太田町の計6人は県へ、それぞれ書類を提出するという。
黒い雨をめぐっては、同特例区域内で被害に遭った人に無料健診の受診者証が交付され、特定の病気を患うと、被爆者健康手帳に切り替えられる。一方、区域外で雨に遭った場合は援護がない。県や市は援護対象区域を6倍に広げるよう求めるが、国が2012年に見送った経緯がある。
弁護士と訴訟の進め方を相談してきた協議会は、申請が却下され、処分取り消しを求めて提訴する際に、3号被爆者の要件の方が争いやすいと判断した。
この日、安芸太田町の集会所で役員会を開き、5支部計11人で協議して決めた。高野正明会長は「国と論戦し、被害を認めさせるのが真の狙い。長年の訴えを国が無視する以上、最後の手段に出るほかない」と話した。広島市原爆被害対策部は「区域外で浴びた黒い雨を理由に被爆者健康手帳の交付を求められた例はなく、国と協議して対応する」としている。(田中美千子)
(2015年3月7日朝刊掲載)