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核廃絶への道筋探る ピースボート 広島でセミナー

 核をめぐる国際情勢を学ぶセミナーが、広島市中区であった。国際交流の船旅に取り組む非政府組織(NGO)ピースボート(東京)が主催。4月から乗船して海外で証言する被爆者たちも参加し、核兵器廃絶への道筋を考えた。

 「核兵器の禁止に向かう世界」をテーマに、ピースボートの川崎哲共同代表が講演。核爆発がもたらす非人道的な影響を論拠に法的禁止を目指す国際世論の高まりを強調した。

 一方、4月27日に米ニューヨークの国連本部で始まるNPT再検討会議について、「核兵器禁止条約の議論がどれだけ深まるかが鍵となる」と指摘。法的禁止への努力を誓おうとオーストリア政府が提出予定の文書への賛同の広がりを期待し、「会議後、賛同国が禁止に向けた次の行動を起こす可能性もある。被爆地も原爆の悲惨さを語ることで後押しできる」と訴えた。

 パネル討議では、市民社会の果たす役割が大きいとの意見が相次いで出された。

 ピースボートは4月12日~7月25日、24カ国を巡る8回目の「証言の航海」を企画しており、被爆者8人が参加する。その一人、福山市の広中正樹さん(75)は「原爆の真実を伝え、平和の実現を後押ししたい思いが強まった」。16歳の時、現中区で被爆した三宅信雄さん(86)=埼玉県志木市=も「核兵器は1発でも多すぎる。人類を救うためになくそうと訴えたい」と話した。一行は平和首長会議の加盟都市で、自分たちの被爆時の年齢に近い子どもや、その親と交流する、という。(田中美千子)

(2015年3月9日朝刊掲載)

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