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再生エネ 77%供給可能 2050年 IPCC報告書

 太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは、最大で2050年の世界のエネルギー消費の77%を供給できる可能性があり、温室効果ガスの大幅な排出削減に貢献できるとの特別報告書を、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が9日、発表した。

 今後各国で投資が拡大するのに伴って、発電コストも大幅に低下すると予測。福島第1原発事故を受け、日本でも関心が高まっている再生可能エネルギー開発への追い風となりそうだ。

 報告書は、太陽光や風力のほか、バイオマスや地熱、小規模な水力発電、波力や潮力といった海洋エネルギーなどについて、今後の成長の可能性を技術面と経済面から検討。さまざまなシナリオに基づいて2050年までの推移を予測した。

 各国の投資や技術開発が最も順調に進むとのシナリオでは、2030年に世界のエネルギー消費の43%、2050年には77%を供給できるとの結果が出た。

 報告書は、再生可能エネルギーの拡大による温室効果ガスの排出削減効果は、10~50年の総計で最大5600億トン(二酸化炭素換算)に達すると試算。原子力発電や、炭素を回収して地中に処分する技術よりもはるかに大きいとした。

 IPCCの担当者は「福島第1原発の事故で、原子力発電の後退が予想され、これを化石燃料で代替すると地球温暖化が深刻化することになる」と警告。「(日本を含めた)すべての国で、再生可能エネルギーの拡大が重要な選択肢になる」と述べた。

(共同通信配信、2011年5月11日朝刊掲載)

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