×

ニュース

「放射線に不安」6割強 福島などからの避難者調査 中国地方

 東日本大震災の被災地から中国地方へ避難している人を対象に中国新聞社が実施したアンケートから、回答者の6割強が福島第1原発事故による「放射線の影響」に不安を感じていることが分かった。「生活費」への不安も6割に達し、収入不足などで約4割が「不安定」な避難生活を強いられている実態が明らかになった。

 今月上旬に実施したアンケートの回答者は40人(23世帯)。うち福島県出身が36人(19世帯)と9割だった。

 「不安に感じること」を七つ示して複数選択で尋ねたところ、「放射線の影響」が62.5%(25人)と最多。「福島に戻れば内部被曝(ひばく)から逃れられないのでは」との意見もあり汚染への危機感が強い。次いで「生活費」60%(24人)▽「残してきた土地・財産」57.5%(23人)▽「家族の健康・病気」37.5%(15人)―などだった。

 長引く避難生活について「不安定」との回答は37.5%(15人)に上った。このうち半数近くの7人が「仕事を探している」と答えるなど、経済的な懸念が目立った。

 3人に1人が震災の精神的ショックは「続いている」と回答。「どちらともいえない」と答えた人でも心身の変調などを記述し、影響がうかがえるのは全体の過半数を占めた。

 警戒区域内から避難してきたのは7世帯18人。10日から一部地域で始まった一時帰宅の予定の有無は、10人が「ある」と回答。貴重品や思い出の品を持ち出す希望が多い。「ない」は3人で、「帰宅する費用が無い」などを理由に挙げた。「決めていない」3人、無回答2人だった。

 原発事故への政府や東京電力の対応について、「後手後手で期待できない」「支援対象の線引きが不公平」などと厳しく批判する声もあった。

 ≪調査の方法≫中国地方への避難者で小学生以上を対象に、2~9日の間、記入や聞き取り方式で調査した。質問は12項目、自由記述欄も設けた。回答したのは23世帯40人(うち9人が小中高生)。避難元の都県別内訳は、福島県19世帯36人(うち福島第1原発から半径20キロの警戒区域内が7世帯18人)▽宮城県3世帯3人▽東京都1世帯1人。  9日現在、中国5県の公営住宅に入居した避難者は計464人で、約1カ月前の4月8日現在と比べ104人増加。全体の内訳は広島196人▽山口58人▽岡山70人▽島根101人▽鳥取39人。

(2011年5月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ