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『フクシマとヒロシマ』 30キロ圏内の警官ら診察 広島大も協力

■記者 河野揚

 福島第1原発事故を受け、福島県立医科大(福島市)は週明けにも原発から30キロ圏内で作業している警察官や消防隊員、自衛隊員の診察を付属病院で始める。被爆者医療のノウハウがある広島大と長崎大が協力。被曝(ひばく)線量の検査や、被曝した不安を取り除くメンタルケアに当たる。

 福島県立医科大によると、同大はこれまで2次被曝医療機関として、被曝線量が高い原発作業員の検診に当たってきた。しかし現在は警戒区域や計画的避難区域など放射線量の高いエリアで作業する警察官や消防隊員などの健康対策が課題になっており、福島県が同大に診察開始を要請していたという。

 必要に応じて体内の被曝状況を検査するホールボディーカウンター(全身測定装置)も使う。阿部正文副学長は「放射線に関する不安を取り除いてあげる必要がある」と意気込む。広島大は医師1人を常時派遣しており、放射線量を評価し、アドバイスする。  初日は10人程度を診察する見通し。警戒区域に一時帰宅した住民の救急医療にも対応する。付属病院の横山斉副病院長は「広島大と長崎大のノウハウを生かしてもらい、多面的なケアをしていきたい」と話している。

(2011年5月13日朝刊掲載)

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