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被爆証言聞き決意新た 欧州スタディーツアー勉強会第2回 広島

 広島の若者たちが、欧州を巡りホロコースト(ユダヤ人大虐殺)について学ぶスタディーツアー(主催・公益財団法人ヒロシマ平和創造基金)の2回目の事前勉強会があった。被爆者の小倉桂子さん(77)=広島市中区=の証言を聞き、「原爆で愛するものを失ったからこそ、この悲しみを他の人に経験させたくない」との思いを心に刻んだ。

 メンバーの中国新聞ジュニアライターの高校生と大学生らが参加。ポーランド・オシフィエンチムとオランダ・アムステルダムを回るツアーでは、ホロコースト生還者の話を聞き、現地の高校生らと交流する。ヒロシマの思いを伝え、戦争のない世界をともに目指すため、小倉さんの英語での証言に耳を傾けた。

 8歳の時、爆心地から約2・4キロの牛田町(現東区)で被爆した小倉さん。あの日、閃光(せんこう)に包まれ、爆風で地面に打ち付けられた。その恐怖は58年たった2003年、突然よみがえった。完全修復した広島への原爆投下機エノラ・ゲイ号の展示をめぐり、米国スミソニアン航空宇宙博物館新館を訪れた時だった。当時感じたような恐怖が急に込み上げ、機の前で泣き崩れた。

 勉強会では「広島の街は復興しても、被爆者の内面はとてもデリケート。目に見えない苦しみを想像して」と促した。原爆の恐ろしさを紹介する時は一方的ではなく、誰に話すかを念頭に置くように指摘。その上で「勉強しに来たという姿勢で話せば、思いはシェアできる。被爆者や強制収容所からの生還者と直接会って話を聞き、伝えるというライブ感を大切にしてほしい」と呼び掛けた。

 参加した広島経済大3年大津元貴さん(21)は「お互いが理解し合う世界が大切だと感じた。謙虚な気持ちで臨み、平和の意味を問いたい」。ジュニアライターの高校2年河野新大君(17)は「ヒロシマとホロコーストの悲しさや、生存者の思いをしっかり受け止め、広めたい」と22日の出発を前に思いを新たにしていた。(山本祐司)

(2015年3月16日朝刊掲載)

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