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被爆者に恐怖と怒り プーチン氏 核兵器準備指示 広島 廃絶の必要性訴え

 ウクライナで昨年2月に親ロシア政権が崩壊して親欧米派が政権を掌握した際に、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の準備をするよう自国軍に指示していたことが報道された16日、広島市の被爆者たちに恐怖と怒りが広がった。「過ちを繰り返さないためには、核兵器をなくすしかない」。廃絶の必要性を口々に訴えた。

 「ぞっとした」。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(73)は危機感をあらわにした。「核兵器がある以上、使われない保証はないとはっきりした。全廃しないと」と力を込める。もう一つの県被団協の大越和郎理事長代行(74)も「保有国の本音が透けた。いざとなれば使うということだ」と憤った。

 広島市立大広島平和研究所の吉川元所長(国際安全保障論)は、プーチン政権が国際社会で孤立を深め、国内でも求心力を失いつつある現状が背景にあると分析。「核戦力の使用さえ辞さない姿勢を示し、国民や軍部をまとめようとしたのだろう」とみる。外交官経験が豊富な広島平和文化センターの小溝泰義理事長は「本気で核戦力を発動するつもりだったとは考えにくいが、計算違いや事故で核が使われる危険性の高さが露呈した」と指摘した。

 松井一実市長は「報道が事実なら憤りの念を禁じえない。ロシアは核兵器の非人道性に十分思いを致し、一日も早い核兵器のない世界の実現へ努力するよう強く求める」とのコメントを発表した。(田中美千子)

(2015年3月17日朝刊掲載)

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