×

ニュース

原爆被害者の会 存続決定 岩国 証言活動の強化確認

 会員の高齢化を背景に存廃問題が浮上していた岩国市原爆被害者の会(藤本伸雄会長)は16日、同市中津町の川下供用会館で理事会を開き、活動の継続を正式に決めた。被爆70年の節目のことし、被爆体験の継承に向けて被爆者による学校での証言活動や、証言の映像化の取り組みを強化する方針を確認した。(増田咲子)

 理事会では、会を存続するか解散するかについて藤本会長を除く理事10人に無記名で問い、継続が9人、解散が1人だった。

 この結果を受け、理事からは「世界中で原爆や戦争体験を忘れてはいけないとの機運が高まる中、解散はできない」「もう少し頑張ろう」などの意見が出され、継続することを確認。藤本会長は「語り部活動とともに、被爆証言のビデオ撮影に力を入れる」と今後の活動方針を述べた。

 現在、語り部は5人。6月4日の総会で会員たちに語り部活動への参加を求め、学校関係者へも証言を聞く機会づくりを働き掛ける。会員でない被爆者や被爆2世への入会呼び掛けも進める。理事会終了後、藤本会長は「(継続を選んだ)みんなの思いを大切にしたい」と話した。

 会員は現在258人。平均年齢は85歳を超える。会が昨年、会員に実施したアンケートで活動継続の賛否が拮抗(きっこう)した。だが昨年6月の理事会で「存続を希望する会員の声を無視できない」と継続を模索する方針が示されていた。

 被爆者の高齢化で、被爆者団体の運営が困難になるケースが相次ぐ。広島県でも福山市原爆被害者の会が今月末での解散を決めた。

(2015年3月17日朝刊掲載)

年別アーカイブ