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国連へ核軍縮提案書 NPDI 米への配慮にじむ

 4月27日に米ニューヨークの国連本部で始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、日本など非保有12カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)は近く、提案文書を国連事務局に提出する。核戦力の透明性確保などを推進する内容。米国への配慮がにじみ、核兵器禁止への賛同を各国に呼び掛けているオーストリアとの立場の違いが鮮明になった。

 岸田文雄外相(広島1区)が、17日の記者会見で明らかにした。「被爆地の思いを胸に、会議で具体的な成果を挙げる強い決意がある」と述べ、提案の意義を強調した。

 文書は、広島市で昨年4月に開いたNPDI外相会合でまとめた広島宣言を基に作成。核戦力の透明性の確保▽全ての核兵器保有国による削減交渉▽非人道性に関する議論での各国の結束―の3点を重点化した。岸田氏は、文書への支持を広げるため、在外大使に対して各国政府に働き掛けるよう指示する方針だ。

 一方、昨年末に核兵器の非人道性に関する国際会議を主催したオーストリアは、核兵器禁止に向けた法的措置などへの賛同を求める文書を各国に送付。再検討会議への文書提出を目指している。米国は「核の傘」への影響を懸念し、日本など同盟国に賛同を見送るよう促しているという。日本は賛同しない方針を固めている。

 岸田氏は「核兵器のない世界は、保有国と非保有国の協力なしに実現しない」と述べ、オーストリアの文書との手法の違いを強調。「遠回りのように見えても、現実的かつ実践的な取り組みこそが実現への近道だ」と主張した。

 オーストリアの文書には、これまで約50カ国が賛同を表明。核保有国や核の傘に頼る国からの賛同はないという。(藤村潤平)

(2015年3月18日朝刊掲載)

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