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上関原発計画 埋め立て免許失効も 山口知事 来月に見解

■記者 金刺大五

 中国電力の山口県上関町への原発建設計画をめぐり、同県の二井関成知事は19日、予定地の公有水面埋め立て免許を失効させることも含めて検討していることを明らかにした。福島第1原発の事故を受けた国のエネルギー政策の見直しも踏まえ、免許の延長が妥当かどうか慎重に判断する構え。来月22日開会予定の県議会定例会で見解を説明する方針も示した。

 県は2008年10月に免許を交付。中電は2009年10月に着工した。しかし、反対派の抗議活動や福島の事故後の準備工事の中断もあり、埋め立てはほとんど進んでいない。完工期間(3年)の期限が2012年10月に迫る中、免許の延長申請は必至の情勢となっている。

 二井知事は報道陣に「免許を失効するか、延長するか、選択肢は二つだが、まだ白紙の状態」とした上で、国の法定受託事務である埋め立て免許の延長の可否について「福島の事故も踏まえ、私の裁量権がどこまであるのか国に照会し、検討している段階」とした。菅直人首相が掲げた国のエネルギー政策の見直しの動向も注視する考えも強調した。

 同計画は中電の原子炉設置許可申請を経て国の審査に移行している。二井知事は「(埋め立ての)免許が失効した場合、原子炉設置許可の後に免許を(あらためて)出す方向が一番分かりやすい」との見解も示した。

上関原発計画
 中国電力が山口県上関町長島に出力137万3千キロワットの改良沸騰水型軽水炉2基の建設を計画。約33万平方メートルの土地を造成し、うち約14万平方メートルは海面を埋め立てる。建設費約9千億円。1号機は2012年6月の本体着工、2018年3月の運転開始を予定するが、福島の事故を受け、山下隆社長は着工延期の可能性も示した。

(2011年5月20日朝刊掲載)

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