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島根原発1号 廃炉 延長は採算合わず 中電決定 運転開始41年

 中国電力は18日の臨時取締役会で、運転開始から41年の島根原子力発電所1号機(松江市鹿島町、出力46万キロワット)を4月30日で廃炉にすると決定し、経済産業省に届け出た。同社の原発の廃炉は初めて。中電の苅田知英社長や幹部が相次いで地元自治体の島根県、松江市などを訪れ、報告した。(川井直哉)

 東京電力福島第1原発の事故後、原子力規制委員会は原発の運転期間を原則40年に限定。例外として通常より厳しい「特別点検」の実施などを条件に20年延長できるとした。

 中電は1号機の廃炉と運転延長を両面で検討してきた。延長するには安全対策に巨額な投資が必要な上、出力が最新型の原発の3分の1にとどまることから採算に合わないと判断。廃炉にしても原発設備の資産価値が急激に減らないようにする新たな会計ルールが今月導入されたのを受け、廃炉を決めた。

 1号機の廃炉費用について、中電は378億円と想定する。既に341億円を積み立て、今後も残る37億円の引き当てを続ける。ただ最終的にどのくらい掛かるかは確定していない。

 中電は今後、半年ほどかけ、廃炉作業の具体的な工程を示す「廃止措置計画」を作成し、地元自治体の了解や原子力規制委の認可を得て、廃炉作業に入る。

 この日、苅田社長は島根県の溝口善兵衛知事と、松江市の松浦正敬市長を訪問し、廃炉決定を伝えた。「実際の廃炉作業には30年から40年間かかる。安全第一でやっていきたい」と説明した。

 溝口知事は廃止措置計画について「周辺自治体も含め十分な説明をしていただきたい。国への申請前と申請の結果が出た時点の2段階で、作業開始の事前了解の判断をしたい」と述べた。松浦市長は廃炉作業で発生する放射性廃棄物の処理に対し「使用済み核燃料などを原発敷地内で長期保管することは市民が納得しない」と注文を付けた。

 このほか島根原発から30キロ圏の出雲、安来、雲南、米子、境港5市の市長と鳥取県の平井伸治知事にも中電の幹部が訪れ、廃炉決定を報告した。

島根原発1号機
 国産第1号の原発として、1974年3月に営業運転を始めた。事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型の軽水炉で、出力は46万キロワット。原子炉機器の点検不備問題を受け、2010年3月に運転を停止した。そのまま同年11月、定期検査に入り、ほぼ5年間止まっている。

(2015年3月19日朝刊掲載)

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